憧れのイタリア

私の愛読書の一冊に、澤木四方吉著「美術の都」という本があります。若い頃に、たまたま古本屋さんで見つけて購入してから、ときどき、この本を読んでは、私の憧れの地イタリアのローマ、フィレンツェ、ミラノ、ベネチア等を訪ねることを夢想します。この本は、作者が大正時代にヨーロッパへ留学してイタリアの町やパリ、ミュンヘンの都市と美術について瑞々しい感性で記した紀行文集です。

若い頃から、ヨーロッパの絵画で特に好きだったのがルネッサンス期の画家で、ダビンチ、ミケランジェロラファエロはもちろん、フラアンジェリコやフィリッポリッピ、マンテーニャ、マザッチオなどの画家の絵画を眺めては、イタリアへ行くことを楽しみしていました。先月末で、会社を定年退職したので、イタリアへ行くことが可能となったのですが、世界的なコロナ禍で、なかなか実現できそうにありません。

著者は、フィレンツェへの思い入れが強く、まず、フィレンツェを訪ねたなら、真っ先に、サンタ・クローチェ教会でジオットのフレスコ画「フランチェスコ伝」を見ることを勧めています。そして、次にアルノ川に架かるベッキオ橋を渡り、サンタ・マリア・デルカルミネ教会でマザッチオの「楽園追放」を見て、そこから、ウッフィツイ美術館、サン・マルコ美術館、アカデミア美術館等々、まさに街自体が美術館の様相を呈しているフィレンツェの建築物、絵画、彫刻を隈なく見ることを強く読者に訴えます。

フィレンツェの絵画や彫刻を愛している人ならば、この本を読めば、誰でもすぐにフィレンツェに行きたくなります。しかも、フィレンツェの次に、ローマ、ミラノ、ベネツィアなど訪ねたい街はたくさん控えています。

今年中には、イタリアへ行くことを、絶対に実現したいと思います。